VM-EQUATRANの応用
用途や応用に触れる前に、この製品の概念的な位置づけを示しておきます。 下図に研究開発からプラント運転までのプラントライフサイクルを示しました。 EQUATRAN-G はモデリングツールとして、研究開発の段階で活躍します。 Visual Modeler はプラント設計から教育訓練、制御系確認、運転支援などプラント運転で応用されます。 プロセス設計では定常状態を扱う、いわゆるプロセスシミュレータが使われます。 VM-EQUATRAN はこれらの間を埋めるもので、ブロック・フロー図でプロセスを捉える概念設計に有効です。 そして、もうひとつの応用はプラント運転での利用です。 オンラインでのリアルタイムシステムとして生産システムに組み込んで使用することができます。
プロセスを設計するときには、プロセスを構成する要素、すなわち主要な装置(ユニット)を大まかに捉えて、ブロックフローダイアグラムを描くことから始めます。 化学プロセスなら反応器と分離器などの主要な装置の組み合わせになります。 物質収支計算を行って妥当なフローになっているか、反応器ではどのくらいの転化率が必要か、分離器ではどのような組み合わせで分離させたら要求の製品ができるか、などを検討します。 このような概念設計では、各要素のモデルは流量と組成を考慮したモデルを作ります。
バッチプロセスのダイナミックシミュレーションが可能です。 たとえば、バッチ反応器では、反応槽に反応物を仕込んでからジャケットに熱媒を通して昇温し、ある温度に達したら撹拌して反応を開始します。 発熱反応の場合にはジャケットに冷媒を流して定温に保ちます。 最後には降温して反応を終了します。 このようにバッチプロセスには運転のシーケンスがつき物ですが、自動操作の機能でケーススタディすることができます。
連続系の動特性を表現する数式モデルを用いて制御対象や制御ロジック、コントローラをモデル化することにより、制御系のシミュレーションが簡単に行えます。 実行時に数式モデルをインタラクティブに変更できるので、レスポンスの良いケーススタディが可能です。
市販のプロセスシミュレータでは、モデルの中身が必ずしも明示されていないユニット(モジュール)を組み合わせてシミュレーションを行います。 つまり、ユニットはブラックボックスになっています。 これに対して、 VM-EQUATRAN ではモデルはすべて EQUATRAN の数式モデルで記述します。すべてのモデルは後から参照が可能です。 モデルの中身が見える、すなわちブラックボックスになっていないと言う意味から、教育用のシミュレータとして有効です。
OmegaLand の外部接続の機能を利用して、生産管理システム(PIMS)にモデルを使った高度な計算機能を付加することができます。 EQUATRAN の非線形連立方程式や常微分方程式の解法、最適化・最小2乗法計算の機能がフルに活躍します。 以下のような用途に利用できます。
OmegaLandと組み合わせたオンラインシミュレータの構成例
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